【銘柄の選び方】高配当株を選ぶ8つの財務指標|計算方法と見方

銘柄の選び方シリーズ「8つの財務指標」のアイキャッチ画像。10年分の推移を棒グラフと直線で見るイメージ 銘柄の選び方

高配当株を調べていると、「EPS」「自己資本比率」「配当性向」みたいな言葉がたくさん出てきますよね。私も始めたころは、出てくるたびに検索していました。

この記事では、私が銘柄を選ぶときに見ている8つの財務指標を、1つずつまとめます。どれも有価証券報告書の「主要な経営指標等の推移」の表の数字から、無料で調べられます。

財務データ分析指標一覧

まずは8つを一覧で並べます。私はスクリーニングで、この8つを過去10年分の数字で見ています。

指標ひとことで言うと
売上高1年で売り上げた金額
EPS1株あたりの利益
経常利益率売上のうち、ふだんの稼ぎとして残った割合
自己資本比率財産のうち、返さなくていいお金の割合
営業CF本業で実際に稼いだ現金
現金等すぐ使える手元のお金
1株配当1株あたりにもらえる配当金
配当性向利益のうち、配当に回した割合

財務データ指標詳細

ここから、8つの指標を1つずつ見ていきます。その前に、「見方」でよく出てくる「傾き」と「決定係数」の意味だけ書いておきます。

「傾き」と「決定係数」

10年分の数字をグラフに並べて、いちばん近い直線を1本引きます。下の図の、紺の棒が毎年の数字、オレンジの線が引いた直線です。

傾き:その直線が右上がり(プラス)か、横ばいか、右下がり(マイナス)かです。私は、プラスになっていることを確かめています。

傾きがプラス
1年目10年目
右肩上がり
傾きがマイナス
1年目10年目
右肩下がり

決定係数:数字がどれだけ直線どおりに並んでいるかです。0〜1の値で、1に近いほど「でこぼこが少なく、まっすぐ伸びている」ことになります。

決定係数が高い
1年目10年目
決定係数 0.99
棒の高さが直線のまわりにそろっている
決定係数が低い
1年目10年目
決定係数 0.30
上がったり下がったり、でこぼこ

つまり「傾きがプラスで、決定係数も高い」ほど、着実に右肩上がりということです。

売上高

計算の仕方

1年間(1つの会計期間)に、商品やサービスを売って得た金額の合計です。会社によっては「営業収益」「売上収益」など、別の名前で載っています。

私の考え方

利益が右肩上がりなら、売上は見なくてもいいと思われるかもしれません。でも、売上が横ばいのまま利益だけ増えているなら、その多くはコストカットによるものです。

コストカットは大事です。ただ、削れるところを削っていけば、いずれ削るものが無くなります。利益を長く右肩上がりで続けるには、やっぱり売上が伸びていく必要がある。ここが、売上の右肩上がりを見ている理由です。

また、売上の増減が激しすぎる会社は、配当を長く続けるのが難しいと思っています。

見方

直近10年で、下記を確認します。

  • 傾きがプラス
  • 決定係数が0.85以上

EPS(1株あたり利益)

計算の仕方
計算式

EPS = 当期純利益 ÷ 1年間の平均の株数

当期純利益は、グループ全体の場合は「親会社株主に帰属する当期純利益」を使います。株数には、会社が自分で持っている株(自己株式)は入れません。

私の考え方

配当は利益から出す、というのが基本の考え方です。なので、増配を続けてほしいなら、EPSが右肩上がりになっている必要があります。

EPSが年によって大きく上下している会社は、増配する年もあれば、大きく減配する年もありえます。安定性に欠けます。逆に、少しずつでも着実に右肩上がりなら、会社も配当を安定して出せて、増配も進めやすいと考えています。

見方

直近10年で、下記を確認します。

  • 傾きがプラス
  • 決定係数が0.7以上

利益は売上より上下しやすいので、決定係数の基準は売上よりゆるめにしています。

経常利益率

計算の仕方
計算式

経常利益 = 売上高 − 売上原価 − 販管費 + 営業外収益 − 営業外費用

経常利益率 = 経常利益 ÷ 売上高 × 100

経常利益は、本業のもうけに、受取利息や支払利息など、本業以外でふだん出入りするお金を足し引きしたものです。会社全体の、ふだんの稼ぐ力がわかります。土地を売った利益のような、その年だけの特別な損益は入りません。

これに対して、本業だけのもうけが営業利益です。
営業利益 = 売上高 − 売上原価 − 販管費
財務分析では営業利益が使われることが多いですが、有価証券報告書の「主要な経営指標等の推移」の表には、営業利益が載っていない会社が多いんですよね。なので私は、本業以外も含めた会社全体の稼ぐ力として、経常利益を使っています。

私の考え方

売上があっても、利益になっていなければ、当然配当は出せません。売上のうちどれだけが利益として残るかを、経常利益率で見ています。

高ければ高いほどいい指標です。日本の会社全体の平均は6%前後なので、それを大きく上回っているかどうかで、優秀な会社を見分けています。

※財務省「法人企業統計」の2022年度の数字(金融業・保険業を除く全産業)で、売上高経常利益率は約6.0%です。小売や卸売のように、業種がらもともと低くなる会社もあります。

見方

直近10年で、下記を確認します。

  • 平均が10%以上

一般的に、10%以上あれば優等生、5%くらいで普通、3%以下だと低め、と言われます。私は優等生のラインを目安にしています。

※IFRS(国際会計基準)や米国基準の会社には、経常利益がありません。その場合は「税引前利益」で代わりにしています。

自己資本比率

計算の仕方
計算式

自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資産 × 100

総資産(会社の財産全体)は、負債(借金など、いずれ返すお金)と純資産を足したものです。自己資本は、純資産のうち株主のぶんで、株主が出したお金と、これまでの利益の積み上げでできています。

私の考え方

財産全体に対して負債が多すぎないか、株主のお金と積み上げた利益で会社を回せているかを見ています。

負債が多いのが悪い、というわけではありません。借金をしてでも大きく投資して、事業を伸ばすことも必要です。ただ、長く持つという目線だと、負債が多い会社は、何かあったときに倒産するリスクが高いと考えています。

つまりこの指標で、買った株が紙切れになるリスクがどれくらいあるかを測っています。

見方

直近10年で、下記を確認します。

  • 平均が60%以上

銀行・保険は、お客さんから預かったお金が負債になるので、業種がら自己資本比率がとても低く出ます。なので、銀行・保険は参考程度に見ています。

営業CF(営業キャッシュフロー)

計算の仕方

計算式を出すと、減価償却費などの難しい言葉が出てくるので、ここでは省きます。この指標が表しているのは「本業で、実際にどれだけ現金を稼げたか」です。

利益との違いは、お金をまだ受け取っていない売上の扱いです。商品を売って、代金を後で受け取る約束(売掛金)にした場合、利益には売上として入ります。でも、その年のうちに現金が入ってこなければ、営業CFは増えません。

私の考え方

営業CFがマイナスになっていないか、つまり本業で現金が出ていくばかりの年が無いかを見ています。私は、過去10年でマイナスの年がある会社は、投資の候補から外すようにしています。

見方

直近10年で、下記を確認します。

  • マイナスの年が1年も無い(赤字年が無い)

現金等(現金及び現金同等物)

計算の仕方

手元の現金と、普通預金・当座預金のようにすぐ引き出せる預金、それに「現金同等物」を足したものです。現金同等物は、すぐ現金にできて、値段がほとんど変わらない短期の投資のことです。たとえば、3か月以内に満期が来る定期預金などです。

私の考え方

現金がたくさんあれば、大きな不景気のときも乗り切れますし、チャンスのときには投資もできます。

キャッシュフローがいい会社なら、この現金は右肩上がりに増えていくと考えています。なので、キャッシュフローが健全かどうかを確かめる意味でも、参考にしている指標です。

ただ、稼いだ現金は、設備投資や配当、借金の返済にも使います。いい会社でも、大きな投資をした年は現金が減ることがあります。減った年は、何に使ったのかをキャッシュフロー計算書で確かめるようにしています。

見方

直近10年で、下記を確認します。

  • 傾きがプラス
  • 決定係数が0.7以上

1株配当

計算の仕方

1株あたりに、1年でどれだけ配当金を出したかです。中間配当と期末配当を足した、1年分の金額です。高配当株投資では、いちばん大事な指標です。

私の考え方

見ているのは次の3つです。

  • 過去10年で、配当が無い年(無配)が無いこと
  • 減配を何度もしていないこと
  • 長い目で見て、右肩上がりになっていること

配当があまりに増えたり減ったりする会社は、候補から外します。

見方

直近10年で、下記を確認します。

  • 無配の年が無い
  • 傾きがプラス
  • 決定係数が0.85以上

配当は、売上やEPSより「まっすぐ伸びているか」を厳しめに見ています。

配当性向

計算の仕方
計算式

配当性向 = 1株配当 ÷ EPS × 100

利益のうち何%を、配当として株主に返したかです。

私の考え方

無理をして配当を出していないかを確かめる指標です。私は30〜50%くらいが健全で、70%を超えると、この先配当を続けるのが難しくなってくると考えています。

配当性向が70%だと、利益が3割ほど減っただけで、配当が利益を上回ってしまいます。利益が落ちたときの余力が小さい、ということですね。

逆に低すぎる会社は、利益のわりに株主への還元が少ない、と見ています。

見方

直近10年で、下記を確認します。

  • 平均が30〜50%

まとめ

私が銘柄を選ぶときに見ている、8つの財務指標をまとめました。

  • 伸びているか:売上高・EPS・1株配当
    10年で、着実に右肩上がりかを見ています。
  • 稼ぐ力:経常利益率・営業CF
    売上がちゃんと利益と現金になっているかを見ています。
  • 体力:自己資本比率・現金等
    不景気でも倒れず、配当を続けられるかを見ています。
  • 無理をしていないか:配当性向
    30〜50%くらいが理想かなと思っています。

どれも、有価証券報告書の「主要な経営指標等の推移」の表で調べられます。

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※ 本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任のもと、ご自身の判断で行ってください。見方の条件は、私がスクリーニングを始めたときに決めたものです。

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